2016年7月22日金曜日

選択科目Ⅲ-2 大規模津波災害からの復旧復興事業における自然環境への配慮

平成28年度筆記試験問題シリーズも今日で最後となりました。

Ⅲ-2は大規模津波災害からの復旧復興事業における自然環境への配慮についての出題でした。自然環境保全系の技術者であればこっちに取り組んだひとも多いと思います。

東日本大震災のうち地震や原発事故を除く津波による被災からの復興復旧事業で主なものといえば、
・がれきの撤去・処分
・ライフライン構築
・海岸対策(護岸整備・海岸林)
・交通網整備(道路・鉄道・空港・港湾)
・まちづくり(集団移転・区画整理)
・災害公営住宅
・農業/水産業施設整備
・地域の産業に係る施設等の整備など

こうして書き出すとあたらめて津波がもたらした、あるいは奪い去ったものの大きさに呆然とします。
これらの事業のどれかを想定して書きやすい、あるいは書きたいものを取り上げて、自然環境にも配慮する意義を強調しながら書き進めればいいのではないかと思います。

そして、どの事業を選んだとしても、自然環境への配慮に関するキーワードを「生態系ネットワーク」とすると展開しやすいかもしれません。
そしてもちろん、どの事業を取り上げてもその事業が担うインフラ整備を生態系の力を活用して行うグリーンインフラによる手法も混ぜ込むと、問題文の冒頭部分で踏まえることが強調されている「中長期の視点」、「先導的な施策」、「人類共通の課題の解決」についても包括することができます。

東日本大震災からの復興の状況と最近の取組[平成28年3月版]

震災後実施事業における自然環境配慮事例収集

復興まちづくりにおける景観・都市空間形成の基本的考え方

また、津波によるものではありませんが、平成26年には美しい山河を守る災害復旧基本方針」【ガイドライン】が改定されています。
これを津波による復旧に当てはめて書き進めてもいいですね。

漁港災害復旧(再復)工事(海岸堤防)
【福島県南相馬市(2015年6月26日撮影)】

Ⅲ-2 東日本大震災復興基本法において「環境への負荷及び地球温暖化問題等の人類共通の課題の解決に資するための先導的な施策への取組が行われるべきこと」とされているように,大規模な津波災害からの復旧・復興に際しても自然環境への配慮も含めた中・長期の視点は重要である。
 このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)大規模津波災害からの復旧・復興事業において自然環境への配慮を行う意義について,多面的な視点から3つ挙げ,その内容についてそれぞれ述べよ。

(2)大規模津波災害からの復旧・復興事業を1つ想定し,その概要を説明せよ。その復旧・復興事業において環境への配慮を図る際に,特に復旧・復興の観点から留意すべき課題を3つ挙げ,おのおのについて,その対応策を示せ。

(3)上述の対応策から1つを選び,その対応策を実施する際に生じ得る問題点と,その問題点への対処法について述べよ。

最後に、解答論文の再現だけはしっかりやっておいてください(最低でも問題Ⅲだけは)。筆記試験に合格してからさいげんしていなくて(そしてすっかり忘れちゃっていまさら再現できなくて)慌てるひとが毎年います。

それでは次の関門に向けてしばらく英気を養っておいてください。

お疲れさまでした!

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