2015年9月23日水曜日

グリーンインフラストラクチャー

連休でしたね。沖縄では天候にも恵まれ行楽日和が続きました。
技術士試験関連では、シルバーウィークしょっぱなの9月19日はAPECさんによる技術士一次試験セミナーとRCCM試験対策セミナーを那覇市で開催したんです。
わたしにとっては1次試験は12年前、RCCMは5年前のことですから、ひさかたぶりに初心に還るといいましょうか、基本に立ち返りつつも技術の進歩や常識の変化を垣間見ることができて新鮮な驚きがありました。
SUKIYAKI塾沖縄でいごの会

ところで先日の国土利用計画にもあったように、ようやく国交省も動き出したグリーンインフラ。
自然再生事業と合わさってそろそろ試験でも問われそうな機運が高まってきたように感じています。

まずは全体像を把握して、
①必要とされるようになった背景、
②それからグリーンインフラの「利点と欠点」を整理し、
③「(利点の)効果を高めるためにはどうすべきか?」、
④「欠点を補うためにはどうすべきか?」
についてまとめておけば、問題Ⅱ-1でも問題Ⅲでもどちらでも対応可能だと思います。
グリーンインフラについては以下のレポートがたいへん参考になりますのでぜひ勉強しておいてください。

●日本学術会議 「復興・国土強靱化における生態系インフラストラクチャー活用のすすめ
●三菱UFJリサーチ&コンサルティング 「わが国のグリーンインフラストラクチャーの展開に向けて ~生態系を活用した防災・減災、社会資本整備、国土管理~
●鹿島「グリーンインフラ―水、緑、生きものを活かしたまちづくり―
●日本生態系協会「グレーインフラからグリーンインフラ

実は、今月中旬に催された応用生態工学会主催のグリーンインフラに関する国際シンポジウムに参加してきました。
流域・沿岸におけるグリーンインフラの概念と方法論

これまでのどちらかというと生態学拠りの催しものとはひと味ちがって、国土利用計画の策定に携わった国交省の専門調査官による基調講演で幕を開けたこともさることながら、会場の聴講者側にも国交省や地方自治体の建設土木関係の部署の担当官がいたり、もちろん大学や公的研究機関の研究者やコンサルタント大手の技術者のかたがたも多数参加していたようで、質疑応答でもたいへん盛り上がりました。
特に国交省の部局をまたいだ議論を聴いていると国交省内部でもまだまだ1本化していないことがわかって面白かったです。まさに議論白熱進行中のホットな話題、将来の日本を形づくる重要な概念を含んでいることを実感しました。
シンポジウムでの詳しい内容についてはまずはわたしの勤務先に報告しないといけませんので、ブログではネット上でひろったものを紹介するにとめておきますね(出し惜しみ(笑))。

天然記念物 慶佐次のヒルギ林【沖縄県東村】

平成27年度 総合政策局関係 予算概算要求概要 平成26年8月 国土交通省総合政策局
○ 「グリーンインフラ」の取組推進による魅力ある地域の創出(環境政策課)
要求額 10百万円
・ グリーンインフラ」とは、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両 「面において、自然環境が有する多様な機能(生物の生息の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制等)を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるもの。

具体例(イメージ)
【多自然川づくり】
瀬や淵、植生の形成等により、河川が本来有する生物の生息環境等や多様な河川景観を保全・創出
【緑の防潮堤】
沿岸部における防災・減災を目的とし、利用、自然環境、景観も考慮した緑の防潮堤の整備
【公園緑地の整備】
大規模災害発生時に延焼防止帯となる公園緑地の整備による都市の防災性向上
【生物共生型護岸】
干潟や磯場などの生物生息場の機能を持ち、親水性も向上する生物共生型護岸の形成

・グリーンインフラの取組を推進することで 地域の魅力・居住環境の向上 、生物多様性の保全、防災・減災等が可能。
・これにより 自然環境の保全・再生と併せて 居住人口や交流人口の増加 、土地の価値の向上等が図られ、地域の活性化やそれに伴う雇用の増加を通じて地方創生に資する。

<内 容>
・我が国の社会資本整備等におけるグリーンインフラの意義・取組方策・指標等の整理・検討
・現地調査・ケーススタディーを通じた効果的なグリーンインフラ形成の手法や留意点の整理、ガイドライン作成等

グリーンインフラの取組推進のための調査検討
●グリーンインフラの意義・取組方策・指標のあり方等の検討
(諸外国の事例等を参考に、我が国におけるグリーンインフラの取組方策等を検討)
→社会資本整備や土地利用等に関する計画等への反映

●グリーンインフラの効果の把握・検討
(調査やヒアリングを通じたグリーンインフラの社会・経済効果把握)
→各取組主体の実施や合意形成等のための指針

●効果的なグリーンインフラ形成手法や留意点整理・ガイドライン作成・試行
(現地調査・ケーススタディを踏まえたガイドラインの作成、モデル事例の整理)
→地域の特性に応じた効果的な取組を推進

●普及啓発のための地方セミナーの実施
(自治体、民間事業者、NPO等を対象としたセミナーの開催)
→ 全国的なグリーンインフラの普及啓発

平成26年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
グリーンインフラストラクチャーの活用に係る世界の動向について
グリーンインフラストラクチャー(以下「グリーンインフラ」という。)とは、土地利用において自然環境の有する防災や水質浄化等の機能を人工的なインフラの代替手段や補足の手段として有効に活用し、自然環境、経済、社会にとって有益な対策を社会資本整備の一環として進めようという考え方であり、近年欧米を中心にこの考え方に基づく取組が進められようとしています。

グリーンインフラに関する統一的な定義はありませんが、2013年(平成25年)5月に欧州連合(EU)で策定された「EUグリーンインフラストラクチャー戦略」によると、「生態系サービスの提供のために管理された自然・半自然地域の戦略的に計画されたネットワーク」と定義されています。
また、同戦略では、主要政策へのグリーンインフラの組み込み、自然環境の再生等の事業の実施、調査研究の推進、資金の動員等が明記されています。こうした動きを踏まえ、ドナウ川流域では、生物多様性保全と災害対策を目的として約20万haの氾濫原湿地の自然再生が予定されています。

また、米国では、2008年(平成20年)に環境保護庁が州政府と協力して、洪水や下水処理の包括的な対策として、「グリーンインフラストラクチャー行動戦略」を策定しました。
この戦略では、自然環境に加え、屋上緑化や雨水浸透道路等もグリーンインフラの対象とし、水処理やヒートアイランド対策などの主に都市域におけるグリーンインフラの活用方策をまとめています。
ニューヨーク市では、合流式下水道の越流水対策にかかる負担を削減するために、より経済的な対策として、2.4億ドルをグリーンインフラに投資することを決定し、屋上緑化、透水性舗装、緑地や湿地の確保といった取組等を進めることにより、従前の公共事業のみの対策と比較して1.4億ドルの経費の削減を見込んでいます。

国際的には、2008年(平成20年)に国連環境計画(UNEP)、IUCN等の国際機関により設立された「環境と災害リスク削減に関する国際パートナーシップ(PEDRR)」により、生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)に関する能力養成、事例収集や政策提言等が進められています。

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